『ワイルドシングス』

そういやこんな映画もあったなぁと、ジャケ写を観てぼんやり感じたのですが、さすがに18年も前の作品だとは思いもしませんでした。単にちょっとエロいだけのお手軽サスペンスかとナメて観始めたんですが、これがまぁ180度どころか一周通り越しちゃう540度レベルのドンデン返しムービーでして、制作サイドのドヤ顔が見えるようです。…って、製作総指揮がなんとケビン・ベーコン。きっとカンのいい人は、その時点で「傾向と対策」が出来ちゃうんでしょうが、自分はかなりギリギリまでまんまとノせられてしまいました。先にキャストを紹介してしまうと、先ずはネーヴ・キャンベル。自分『スクリーム』って全く観たことないんで、顔だけしか知りませんでしたが、演技は普通に及第点超え。そして次にデニス・リチャーズ。『スターシップ・トゥルーパーズ』と言われると、なんとなくあぁそうだったかしらと思うものの、あれはハリボテの群れが主役の映画なんで、やはり思い出せませんw。ともあれ、他でのキャリアとか、チャーリー・シーンの元嫁だとか、そんなのはどうでもいいです。とにかくエロ可愛い! シャレにならん。ストーリーはいいからもっとエロシーンをく... Read More | Share it now!

『秒速5センチメートル』

新海誠という監督さん含め、前知識は一切ありませんでした。ただ、Twitterのトレンドワードに挙がっていたというだけで、NHK BSプレミアムでやっていたのを録画して観てしまったのです。 なんだこの切なさメガトン級の爆弾は。今劇場でやっているといった作品ではないので、ほんのちょっとだけネタバレ気味で行きますが、本作は「これまでの人生で、最も好きだった人と一緒にいることができなかった者達へのレクイエム」ですわ。ここまで思春期のお膳立てが完璧、且つその後の凋落ぶりがはっきりしている例は恐らくレアなんだと思いますが、ともあれ人を本気で好きになったことのある者にとっては、程度の差こそあれ古傷が疼くような内容であることは間違いないでしょう。 でもね、タカキ君のバカラのガラス細工のような孤高且つ繊細なメンタリティを持ってる人というのは、そうはいないと思います。あそこまで一途で、どうして添い遂げられないのか、適当な相手で妥協してしまうのか、正直そこが不自然に感じられます。まぁね、いるよこういうヤツ。自分がどれだけイケていて、恵まれているかに無自覚なの。ストイックでカッチョよく... Read More | Share it now!

伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

作者の伊坂氏は、自分の同級生の中では久保純子氏と双璧をなす有名人であり、だからというわけでは…いや恐らく、無意識に自分と比して成功者を敬遠していたというのが実態だったんでしょう。しかし、ある時遅まきながら彼の『重力ピエロ』を読み、なんだよ無条件に面白いじゃないか。こんなの書ける人間相手に勝手に気後れを抱いているのはアホらしいと吹っ切れたのでした。 もう一作読んだくらいで知った気になるのは早計ではあるのですが、先ずはとにかくテンポがいい。畳み掛ける展開。本作でも、物語の主軸となる案件はたったの数日で完結しており、その中で実にダイナミックに目まぐるしく人が動き、事が動きます。そして作風として、事象にも感情にも偏り過ぎず、また鼻持ちならぬほど気取りもせず、かといって白けるほどに砕けてもいない、絶妙なバランス感覚に裏打ちされています。プロットだけは論理的に隙がありませんとか、どいつもこいつも思ったことをフィルター通さず言ってますとか、そういう自己満足的なところがありません。全ては読み手のワクワク感のために、そしてラストの大団円への収束のために、非常に丁寧に書かれています。 一介の... Read More | Share it now!

東野圭吾『宿命』『どちらかが彼女を殺した』

ここのところの忙しさの反動か、無考えにただ読みたいだけの本をごっそり買ってきました。1冊読んでみて反りが合うなと思うと、ついつい安直に同じ作家の作品を連続で読んでしまう傾向があるんですが、彼もその一人です。とても愛好家と胸を張れるほどの数を読んではいないので迂闊なことは言えないんですが、今回この2作品を立て続けに読んで感じたのは、語弊があるかも知れませんが、作品毎にテーマとなるギミックを設定して、その価値を最大化するために精緻に筆を進めるタイプの作家だなということです。 ギミックと書くと非常に安っぽく捉えられてしまいそうですが、プロット上の罠というのが正確なところでしょうか。基本、サスペンスなりミステリーなりといったジャンルなので、読者に対しある程度罠が仕掛けられるのは当然なのですが、作家によって罠の担う重さなり、作品のオリジナリティのプロットへの依存度なりといったものは違います。人物の感情の動きを丁寧・繊細に描くことで、あくまで読者の感動はそこに起因させ、ギミックは副次的なものに留める作家もいれば、完全にプロットの奇異さに作品のアイデンティティを全て委ねてしまっている、日本語... Read More | Share it now!

『ゴーン・ガール』

ほとんど劇場で映画を観ることがないんですが、たまたまそういう機会がやってきたとなると、是非とも自分の好きなジャンルを観たいなと思うわけです。世の中的には、男性向きとしては『アメリカン・スナイパー』一色というタイミングだったのですが、自分としては極上の虚構に酔いたいと思い探したところ、まだギリギリ本作をやっている劇場があったので、わざわざ都心に出向き、席数50ちょっとのちっさい劇場で観てきました。 皆さんはデヴィッド・フィンチャーという監督をご存じでしょうか? SF界で既に古典となる初作、ジェームズ・キャメロンによるアメージングな2作目というハードルの中、『エイリアン』シリーズの3作目で鮮烈なデビューを飾って以降、トラウマ必須の『セブン』、『ファイト・クラブ』『パニック・ルーム』など、とにかく男のハラハラ欲・マッシヴ欲を存分に満たす怪作を世に送り出してきた人です。この人の作品というだけで無条件に観る価値がある、というのが私見です。 で、本作ですが、行方不明になった妻を公開捜査で捜す、というプロット自体は問題ないとして、まぁこれほどまでに観ていない人に説明のしづらい... Read More | Share it now!

『プリデスティネーション』

イーサン・ホークといえば、確か『トレーニング デイ』の後に脚本家業を優先させたが故にユマ・サーマンに愛想を尽かされたんじゃなかったっけな…という記憶がありましたが、実際最近表舞台ではだいぶ鳴りを潜めていたように思えます。で、別に特段彼を観たくてチョイスしたわけではなく、正直観るまでは存在すらも知らなかったんですが、原作があのハインラインとのことで、『スターシップ・トゥルーパーズ』に大いに萌えた身としては、駄作は有り得ないだろうと。結果的には大いに満足した作品でした(監督もテイストも全然違いますが…)。 全編に亘りタイムパラドクスがテーマとなっていますが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から筒井康隆の『笑うな』に至るまで(どんなチョイスの仕方だ…)タイムトラベルものは数あれど、この飛び道具感は半端ではありません。 時空を自在に超えられるエージェントである主人公。ミッションを帯びてジャンプした先で、数奇な生い立ちを持つ青年の話を訊くことになる…。この話がまぁ長いんですわ! おいおいこのまま終わりまで突き進んじゃうんじゃないかと思うほどに。まぁでも内容が面白いので引... Read More | Share it now!

『STAND BY ME ドラえもん』

本人は特にお金出してまで…と思っていた作品なのですが、同僚が「大人のための映画だ」と強烈にプッシュしていたのと、娘たちに「何か観たい映画ある?」と訊いたら「プリキュア」と返ってきたので、そりゃ勘弁してくれと思い強引に本作に連れて行った次第です。観る前は、別にわざわざ3Dにすることもねぇだろと思っていたのですが、タケコプターのリアル体験ができただけでこりゃもう3Dの価値ありだなと。4才の次女は、既にこの場面で「パパ、こわい…」とベソかいてました。すんげぇ迫力です。 毎年のようにやっているドラえもんのシリーズと違うのは、あちらがキャストや基本プロットを使った創作ストーリーなのに対して、本作は原作のエピソードをベースにしている点です。事前情報によると、原作にあった7本の話を再構成して作り上げたそうなんですが、この脚本が実に巧い。訴求ポイントは大きく2つあって、「のび太としずかちゃんの恋の行方」と「のび太とドラえもんの絆」なんですが、そのために原作のエピソードをほんっとに「美味しいとこ取り」してるんですね。後者に関しては、ネタバレするまでもなく、あの原作の6巻~7巻の一連のエピソ... Read More | Share it now!

『スプライス』

ヴィンチェンゾ・ナタリという監督をご存じでしょうか。その名前に聞き覚えがなくても、『CUBE』と聞いて「あぁ、あれか!」とピンと来る人はいるでしょう。それほど衝撃的な体験でしたし、冒頭のシーンは以降様々な作品でネタとして(ある意味「切り株系」のニューウェーブの出発点?)、そしてなによりあの作品から、「シチュエーションスリラー」なるジャンルが確立されたのではないかと、個人的には思っています。以降、滅多に劇場に行くことのない自分も、彼の作品だけはなるべくスクリーンで観るように努めてきました。しかし、本作に関しては存在を知るのが遅過ぎて、間に合わなかったのです。というか、比較的寡作の部類に入る彼ですが、デビューが衝撃的過ぎて、作品出す度にどんどん知名度が落ちて行ってるような気がするんですが…。 とある製薬会社のバックアップを受けながら、新薬の基となる素材の研究を進めるカップル。研究方針で会社との齟齬が判った時、彼らは秘密裏に「新種」の生産を進めようとする…。プロットとしては「ありそう」な感じなのですが、エイドリアン・ブロディ扮する彼氏と、サラ・ポーリー扮する彼女との、新種に対す... Read More | Share it now!

東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』

偶然にも直前に読んだ長編で、犯人をじわりじわりと追い詰めた加賀恭一郎警部補を主人公とした短編集。乱暴な喩えをしてしまえば、愛想がなくやや事務的な刑事コロンボとでもいいましょうか。しかし、本作においてはその淡々とした態度が、犯人側の心の動きにダイナミックに影響しているようです。 短編集というと、普通は特に気負いもなく作者の得意とする世界観に身を委ねることになるのですが、加賀警部補が入ってくるとなると、そういうわけにはいきません、それで、ある程度姿勢を正した上で、はてこれはこれらはどういうテーマでまとめられた作品集なのかな…ということになります。読み進めるうちにすぐにそこは判るはずなんですが、背景のバリエーションに、作者の抽斗の多さを実感することになるでしょう。最初のエピソードを読んだ際に、この作品の「傾向と対策」的なものは自然と解るはずです。短編なので、話中の登場人物から早期に犯人を特定するのはかなり容易なのですが、本作においては犯人を推理することは全く以って目的とはなりません。人間が犯行に至る背景って、これだけバラエティに富んでるんだな…と感じ入ることができるというのが面白いと... Read More | Share it now!

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

封切りからだいぶ経つので、もうやってないかと思ったんですが、なんとかまだやっている劇場を探し出して観てきました。原作となった日本の漫画は未見なんですが、なぜか勝手に脳内で「きっと大友克洋作品とシンクロするものがあるに違いない」という認識をしてしまったのと、とにかく口コミでの評判がやたら良かったのとで、これは絶対にアタリだと踏んでいました。結果として、やはり大当たりでした。 SFは何を観ても同じ感想を抱くのですが、これほど「プロット」が重要なジャンルは他にありません。プロットで作品の価値が先ず半分決まります。本作における「時間の繰り返し」というプロットは、SFにおいては基本中の基本、ベタ中のベタであり、あまり詳しくない自分でさえ、小説・映画・テレビドラマなどで幾度となく体験してきたものだと言い切れます。しかし、他に抜きん出て巧いなと思うのは、主人公とそれ以外の人間とが繰り返す時間が「経験の蓄積の上に成り立つもの」と「ただ一度きりのもの」であるという違い(これ自体を扱った作品はいくらでもある)を前提としつつ、主人公とヒロインとをごく自然に惹かれあう関係に仕上げていくところです... Read More | Share it now!