『カメラを止めるな!』

(本稿は、2018年10月にFacebookに投稿したものの転載です)

ようやく『カメ止め!』を観に行けたのです。もうさすがに終わっちゃうかなと思ってたんですが、偶然時間ができたもので、劇場に行けました。それで、どうしてちょっとした社会現象ともいえるほど本作が話題になっているのか、納得しました。本作の魅力はいろいろあるんですが、まずは何より、観る者に「そう来やがったかチクショー!!」と思わせるだけの「構造の妙」があるのです。しかしながら、「どこが面白いの?」と訊かれても、その構造の妙を語ってしまったらネタバラシになっちゃうので、とにかく「早く観てくれ!」としか言えない。早く観てこっち側の人間になってくれ、というもどかしさ。この「口コミ」が実際に、公開拡大の原動力となっているものと思われます。

で、なんとか頑張って、まだ観ていない方が読んでも大丈夫なように本作を解説してみたいと思い、本作の凄いところや魅力などを以下に挙げます(恐らく、ここまでであればネタバラシにはならないとは思うのですが、それでも全く情報を得ない状態で観たいという方は、読むのを止めてすぐに劇場に行ってください)。

1). 「One cut of the dead」がワンカットで撮られている点(実際はどうなのか知りませんが、ワンカットに見えます)
30分を超える作品が、(恐らく)本当にワンカットで撮られています。内容が敢えてチープにしてあることもあり、あまり大したことには思えないかも知れませんが、物凄く周到な準備と覚悟がないと無理ですよ。自分が知る限りで、最も長いワンカットです。

2). 「One cut of the dead」が、かなり偶然の積み重ねであの形になったこと
後半、これについての描写が観る者に「底なしの笑い」と、「合点のカタルシス」とを与えてくれるわけですが、「なるほどこの場面はこういういきさつで」とパズルのピースが嵌っていくような感覚と共に、出来上がった作品がある種のミラクルに拠るものだったことが判り、感動を覚えます。

3). 映画作りの現場感がリアル
まぁ、実際はワンカットであんな無茶なことはしないでしょうから、もう少し落ち着いてはいるんでしょうが。ともあれ、カメラが回っていないところではこういうことやってるんだ! というのが窺えて、感心してしまいました。

4). 知的好奇心をくすぐる「層構造」
「層」と表現して正しいのか解らないのですが、本作で表現されているのは複数の「世界」ですね。先ずは「One cut of the dead」で描こうとしていた世界、そしてそれを制作している世界、そしてさらにそれらを外側から撮り我々に見せている世界。観ている最中に、これらがゴチャゴチャになってよく解らなくなってくる場面があって、それがまた面白いのです。本作の予告などでも有名な「監督」のあのセリフ、一体誰に向かって言ってんのかしら?とか。

5). モノづくりへの愛が溢れていること
いろいろあったものの、最後には現場のキャスト、スタッフが一丸となって、とにかくいい作品を作ろうと奮闘するわけです。さんざん笑わせといて、これかよと。粋なことしやがって、涙が出ちまうじゃねぇかよと。

とにかく、こいつは凄い。やられました。なんでこんな映画作れるんだよと、映画作る人間でもないのに言い様のない嫉妬心が生まれてしまうほど。本作も観ずに「ボクは映画好きだから」とか言ってたら、お前アホだろと。映画観をブチ壊されるほどの、強烈な体験でした。というわけで、映画が好きだという人はもちろんのこと、人生行き詰っているような人にも観てほしいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA