
弁当箱のようなキュートなフォルムに、無限の可能性を秘めたストリングシンセサイザーです。当時愛用していたアナログモデリングシンセ ALESIS製 “micron” の調子が悪くなってきており、代替機材を探していたのですが、一足飛びに現在のメイン機である blofeld を買えるほどの予算がなく、落としどころを模索していたところ、本機が浮かび上がってきました。
ソロを執る時用に「飛び道具」は欲しい、でも先立つものはそれほどない。でも、鍵盤はあるから要らないなぁ。だったら、音源部分だけでいいじゃんと。で、当時waldorfではこのフォルムで”rocket”という製品も出していたのですが、そちらはモノフォニック。さすがにコード弾きできないと使い勝手悪いなぁと。また”2-Pole”はそもそもシンセじゃなくてフィルターだそうで用途が違います。 あとは、Rolandから往年のJUNOをモジュール化した製品も出ていたのですが、なんと同時発音数が4とのことで、こちらもコード弾きの際の制約になってしまうと断念した経緯があります。というわけで購入、当時確か3万円前後だった記憶があります。
で、ストリングシンセサイザーと銘打ってありますが、そういう音しか出せないのかというと全然そんなことはありません。RUSHやTangerine Dreamなども愛用していたことでも有名なPPGのシンセサイザーのような、重厚かつ深遠な音が手軽に出せるのです。あと言えるのは「イタリアンプログレっぽい音が出る」ということですかね。擬音としては「ミョォォォン」ってな感じ。
“streichfett”が素晴らしいのは、そんな重厚かつ深遠な音が、超イージーオペレーションで作れてしまう点にあります。乱暴にサマりますが、本体左側で音のキャラクターをざっくり決めます。あとはオクターブ、アタックとサステインの塩梅、コーラス系のエフェクトを種類を決めます(オフにするってのは考えにくいです。すんげぇソソるので)。で、右側でもう1系統音を作れるので、そっちもチャチャッと作ってしまいます。あとは、左と右のバランスを中央のツマミで決めるだけです。最後に左下でさらにエフェクトを加えることができるので、それをやったらおしまい。こんだけです。
ありがたいのは、こうして作ったサウンドを12種類、メモリーしておけることです(右下)。が、逆にこの12種類というのがネックにもなってまして、ライブで使うことを考えると結構ギリギリなのかなと。自分の場合、これもあって後の“blofeld”購入を決断しました。しかし、blofeldを使い始めてから思うのは、音作りの自由度は格段に上がったんだろうけど、逆にパラメータが多すぎて、思ったような音に落ち着かせるための難易度が非常に高くなってしまったなと。”streichfett”での音作りは早いですし、なにより楽しいんです。ツマミいじってるだけで音が作れるんですもん、ストレスレス。正直、メモリーの数だけ飛躍的に向上させてくれれば、もう1台買ってもいいくらいです。

