
人生初シンセがKORGだったことで、同社製品には絶大な信頼を寄せてきました。バンド活動が本格化した学生時代に、あの名機 “M1” を使い始め、その圧倒的にリアルなサウンドに驚愕したものです。思えば「ミュージックワークステーション」という言葉ができたのが M1 の登場からだったような気がするのですが、マルチティンバーでエフェクターとシーケンサを搭載した夢のようなシンセが出て、それがギリギリ学生でも手が届くような価格だったのです(もちろん、今の同様機能のシンセとはケタが一つ違いますが)。
が、経年劣化でボタンがイカれてしまい、ライブで使うのが難しくなってきたこともあり、そこから別のメーカの音源モジュール + マスターキーボードという組み合わせが長く続きます。その機種のレビューをする際に書きますが、鍵盤と音源の分離はそれはそれで非常にメリットが大きかったからです。しかし、長年愛用していたモジュールが、今度は電源アダプターの劣化で使えなくなりました(舶来品なものでアダプターが7,000円超、2代目が壊れて3代目を買おうとした際には生産停止で入手不能でした)。というわけで、別の音源モジュールを入手したかったのですが、製品トレンド的に鍵盤レスの音源が業界全体で尻すぼみになってきていたもので、食指が動くものがなく、 また久々にメインシンセとして鍵盤一体型を選ぶことにしました。
正直、当時他に何が対抗馬としてあったかは覚えてないんですが、いろいろあった中で最終的に本機を選んだ理由は、恐らく「ミニ鍵盤であること以外にマイナス点がなかったから」じゃなかろうかと。ボディが非常にコンパクトなので、重量はほんとに冗談みたいに軽いですし(2kgちょっと)、価格もだいぶ下がっていました(リリースから数年経っていたと思われ、5万円ちょっとだった気がします)。また近年、楽器屋に行って実機を触ってみるということをまったくしなくなってしまったのですが、えいや!で買ってみて弾いてみたところ、懸念していた「ミニ鍵ゆえの弾きにくさ」というのはそれほどありませんでした。というのも、フル鍵盤との幅の違いは、白鍵で2mm、黒鍵で1mm程度なのです。もちろん、押し込んだ時の深さはそれなりに違うので、「弾いてる感」はフル鍵の方がしっかりしているんですが、演奏に支障というのはありませんでした。
というわけで、自分の場合は2段スタンドの下段に置いて、主にバッキングの音色を担当させる使い方をしていました。両手でピアノ系やパッド、ストリングス系などの音を弾くか、左手で本機をコード弾きに使い、右手で上段の「飛び道具」でソロやオブリガードなどを弾くというのが定番の演奏スタイルです。
音色は押し並べて艶があって煌びやかですね。高域の抜けがきれいで、バンドで弾いているとサウンド全体に華が出る印象。また、リードを出しても結構とんがっているので、本機でソロを弾くことも結構ありました。
ただ、残念なことにいわゆるコンビネーションモードの使い方が、マニュアルを読んでもイマイチピンと来なかったんですよ。なので、結局終始シングルモードで使ってました。オリジナル音色をどんどん若い番号順に上書きしていき、曲中ではUp/Downボタンで複数音色を切り替えていました。ちゃんと5オクターブあったのに、見かけがコンパクトなので、どうもスプリットして使う気にならなかったというのもあります。
今では YAMAHA “mx61” にメイン機をバトンタッチしたので、バンドでレギュラー使用はしていませんが、たまにセッションなんかで「できるだけ身軽に行きたいなぁ」みたいな時や、いざという時(曲中でやたら音色バリエーションが多いとか)に3台目としてなど、チョイスしてもよいかなと。なお、残念ながら現在既に生産停止になっています。同時期にリリースされた “microARRANGER” の方が製品寿命が若干長かった気がするんですが、ステージで使うんならダントツでこっちだよなぁと思ってました。スペックそのままでフル鍵盤でリリースし直してくれませんかね。いい機種だったと思います。

